- AIエージェント開発会社
- AIエージェント開発会社とは、大規模言語モデルを使って業務の一部を自律的に処理する仕組みを、要件定義から本番運用まで請け負う会社のことです。国内の受託開発型、プラットフォーム提供型、大手SIer、海外拠点型の四つに分かれ、同じ要件でも見積りの幅と引き渡しの形が変わります。会社の名前を比べる前に、頼む業務の範囲を決めます。
四つの型。見積りが三倍ひらく理由の半分はここにあります。
会社の名前を並べる前に、型を分けます。どの型が正しいという話ではありません。型によって、契約のあとに何が起きるかが変わります。
見積書を並べるときに見る五つ
金額の前に、この五つを同じ表に書き込みます。埋まらない欄がある見積書は、その欄について聞いてからにします。
- 本番運用まで行った案件の数。PoCの数ではありません。稼働中の仕組みを見せてもらえるかを聞きます。
- 引き渡しの形。ソースコードと手順書が渡るか。その会社を離れたら止まる作りになっていないか。
- 精度の測り方。稼働後に誰が、どの頻度で、何を基準に測るか。私たちの案件では8カテゴリ100シナリオの自動テストを定期的に流しています。
- 価格の決まり方。固定価格か時間単価か。追加要件が出たときの扱いが見積書に書いてあるか。
- 規制の扱い。日本の個人情報保護法、欧州なら GDPR と EU AI法(EU AI Act)。技術文書を誰が書くか。
距離の不利を、条件が上回るとき。
私たちはミュンヘン近郊にいます。日本の午後がこちらの午前で、契約はドイツ法、通貨はユーロです。ここまでは不利です。
それでも声がかかるのは、欧州が絡む案件です。EU AI法の技術文書は、現地の当局に現地の言語で出すものです。条文の運用が固まっていく様子は、こちらの監督当局の発表と業界紙を毎週読んでいないと追えません。私たちはそれを日本語で本社に届けます。
研究の面でも、いる場所が効きます。ミュンヘン工科大学(TUM)、LMU、フラウンホーファーの研究所がこの街にあり、研究会や発表を現地で聞けます。英語とドイツ語の一次情報を、日本語の記事になる前に読んでいます。設計に取り入れるかどうかは案件ごとに判断しますが、選択肢を知らないまま設計することはありません。
逆に、国内で完結する案件で私たちを選ぶ理由はありません。その場合は初回の打ち合わせでそう申し上げます。詳しい条件はドイツの会社と組むということに書きました。
費用は型で決まりません。要件の書き方で決まります。
同じ要件でも、見積りが三倍ひらくことがあります。要件の一行を、見積る側がそれぞれ違う範囲に読むからです。
費用を動かす五つの要因と、見積書を比べるときの確認項目は費用の考え方にまとめました。ここでは一つだけ。PoCと本番運用は別の見積りです。PoCの金額だけで比べると、本番で順位が入れ替わります。
最初の打ち合わせまでに決めておく五つ
ここが決まっていると、どの型の会社に聞いても見積りが揃います。
- 対象の業務。「問い合わせ対応」では粗すぎます。「月300件の返品問い合わせのうち、定型の6割」まで絞ります。
- 使う人と人数。現場の担当者なのか、本社の管理部門なのか。
- 使ってよいデータと、社外に出せないデータ。クラウドに出せないなら、ローカルLLMが選択肢に入ります。
- 成功の基準。時間、件数、誤りの率。数字で書きます。
- 本番運用の担当者。引き渡しのあと、社内の誰が引き取るか。