国内の会社に頼むほうがよい場合が多いです。
時差もなく、契約も国内法で、担当者の母語は日本語です。多くの案件では、それが正しい選択になります。それでも私たちに声がかかるのは、決まった状況のときだけです。その三つを先に書いておきます。
- ドイツ拠点のパートナー
- ドイツ拠点のパートナーとは、開発と運用の主たる拠点をドイツに置く受託先のことです。欧州拠点の規制対応、欧州の個人データ、複数の言語をまたぐ仕組み。この三つのいずれかが絡むときにだけ、ミュンヘンにいることが不利ではなく前提条件になります。それ以外の案件では、国内の会社に頼むほうが合理的です。
距離は、それ自体では価値になりません。
海外の会社に頼むと、失うものが先に来ます。打ち合わせの時間帯が限られ、契約は外国法になり、細かい言い回しの往復に時間がかかります。
それを埋めるだけの理由がなければ、国内の会社に頼むほうが合理的です。私たちも、そう申し上げることがあります。初回の相談で「これは日本の会社のほうが早いです」とお伝えして終わった案件もあります。
逆に言えば、その不利を埋める理由があるときだけ、私たちを検討する意味があります。それは会社の質の問題ではなく、いる場所の問題です。
欧州が絡んだ瞬間に、話が変わります。
この三つのどれかに当てはまるなら、ミュンヘンにいることは不利ではなく前提条件になります。
欧州拠点の規制対応が要る
EU AI Actの技術文書は、現地の当局に現地の言語で出すものです。条文の運用がどう固まりつつあるかは、こちらにいないと追えません。日本語で本社に説明し、ドイツ語と英語で現地の文書を用意します。
欧州の個人データを扱う
GDPRは日々の運用として回すものです。処理記録、影響評価、削除の導線。弊社は自社のサイトも同じ基準で運用しています。監督機関がどこを見るかを、身をもって知っている立場です。
複数の言語で同じ仕組みを動かす
日本語とタイ語の資料を横断して検索する。三か国語の会議を同じ仕組みで処理する。言語をまたぐ設計は、片方の言語しか見ていないと必ずどこかで破綻します。
黒衣
歌舞伎の舞台には、黒い衣装の人がいます。舞台の上にいて、道具を動かし、役者を助けています。観客の約束として、その人は見えないことになっています。
仕事の形として、これ以上に正確な言い方が見つかりませんでした。私たちが作るものが目立つ必要はありません。うまくいっているとき、社内では「あのシステム」の話は出なくなります。会議の議事録が朝には出来ている。探した資料が見つかる。それが当たり前になったとき、私たちの仕事は終わっています。
ドイツの会社にこの名前をつけたのは、日本の顧客に向けた身振りではありません。先に働き方があって、それを言い当てる言葉が日本語にあった、という順番です。
実務の条件
曖昧にしておくと後で困るところを、先に書いておきます。
できないこと、やらないこと
期待の行き違いは、たいていここから起きます。
- 常駐はしません。人を送り込む形の契約は受けていません。
- 人材派遣もしません。お出しするのは動く仕組みで、人手ではありません。
- 既存ベンダーの置き換えを目的にしません。基幹システムやネットワークを見ている会社との分担を、最初に決めます。
- 囲い込みません。特殊な仕組みで作って離れられなくする、という設計はしません。
- 作らないほうがよければ、そう言います。断ることも仕事のうちだと考えています。
公開している3件
実証実験で終わったものは載せていません。いずれも引き渡しが済み、お客様側で動いているものです。