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GDPR対応 · 欧州拠点を持つ日本企業へ

欧州の個人データにAIを向けるまえに

日本にはEUの十分性認定があります。それでも、欧州拠点が負うGDPRの義務は消えません。業務にAIを入れた時点で個人データの扱い方が変わり、記録と評価をやり直す必要があります。

第30条 処理記録第35条 影響評価72時間 侵害の通知日本語で相談
第30条
処理記録
AIを入れたら書き直し
72時間
侵害時の通知
気づいてから監督機関へ
6件
お渡しする文書
台帳から削除手順まで
0円
初回の確認
最初の面談で
GDPR
GDPR とは、規則(EU)2016/679、EU一般データ保護規則のことです。欧州で人の個人データを扱うすべての組織に適用され、本社がどこにあるかは適用の分かれ目になりません。
01 よくある誤解

移転できることと、義務がないことは別です。

2019年、日本とEUは互いの制度を十分な水準にあると認めました。おかげで欧州から日本へ個人データを送るのに、追加の手当ては要りません。ここまでは正しく理解されています。

そこから先で話が飛びます。移転が自由なのだから、日本の体制のままでよいという理解です。そうではありません。欧州拠点が欧州で人のデータを扱っている限り、記録を残す義務も、本人からの請求に応じる義務も、その拠点に残ります。

日本本社が国内の個人情報保護法に沿って整えた体制を、そのままドイツやオランダの子会社に持ち込むと、記録と委託先契約のところで足りなくなります。

48.83 %
AIの導入を検討して見送った欧州企業のうち、48.83 % が「データ保護とプライバシーの侵害への懸念」を理由に挙げています。記録と削除の導線を先に整えておけば、この懸念は議論の対象ではなくなります。
出典:Eurostat「Use of artificial intelligence in enterprises」2024年調査、2025年12月公表。ec.europa.eu/eurostat
02 変わること

AIを入れると、処理の中身が変わります。

同じデータを扱っていても、そこにモデルを挟んだ時点で、目的も、渡す相手も、保存される場所も変わります。GDPRが見ているのはまさにそこです。

01

目的が増える

採用管理のために集めた履歴書を、要約や下書きに使い始めた時点で、当初の目的の外に出ています。記録に書き足す必要があります。

第5条目的の限定
02

渡す相手が増える

モデルの提供事業者は委託先になります。第28条の契約が要りますし、そこからさらに再委託が続いていないかも見る必要があります。

第28条再委託
03

処理の場所が変わる

どの地域のサーバーで動くのか。既定のままだと欧州の外に出ていることがあります。契約と設定の両方を確認します。

越境移転リージョン
04

保存期間が曖昧になる

入力した内容がどれだけ残るのか。ログ、履歴、キャッシュ。消したはずのものが別の場所に残っている構成はよくあります。

保存期間ログ
05

削除が効かなくなる

本人から削除の請求があったとき、検索用の索引や埋め込みベクトルまで消えますか。ここは設計しておかないと後から効きません。

第17条索引
06

自動的な判断になる

人を選別する場面に出力を使うなら、第22条の話になります。人が実質的に判断しているかどうかが分かれ目です。

第22条人の関与
03 比較

日本の制度との違い

似ている部分が多いだけに、違うところが見落とされます。実務で効いてくるのは次の六点です。

論点日本の個人情報保護法GDPR(欧州拠点)
適用のきっかけ事業者が個人情報を取り扱うこと。欧州で人に向けてデータを扱うこと。本社がどこにあるかは分かれ目になりません。
越境移転原則として本人の同意、または基準を満たす体制。日本向けは十分性認定により追加の手当てなしで移転できます。
記録一定の場合に作成します。第30条で処理活動の記録が必要です。AIを入れたら更新が要ります。
影響評価法律上の義務ではありません。第35条。高いリスクが見込まれる処理では必須です。
委託先委託先を監督します。第28条の契約が必要です。モデルの提供事業者も委託先になります。
侵害したとき個人情報保護委員会へ報告します。気づいてから72時間以内に監督機関へ。
横にスクロールできます
04 成果物

お渡しするもの

照会が来てから集めるのではなく、そのまま出せる形で残します。

処理活動の記録
AIを使っている業務を第30条の形式に落とし込みます。目的、データの種類、受け取る相手、保存期間、越境の有無まで。
影響評価
必要かどうかの判断と、必要な場合はその中身。不要という判断も根拠とともに残します。後から聞かれるのはむしろこちらです。
委託先との契約
使っているモデル提供事業者ごとに、第28条の要件を満たしているかを確認します。足りない項目は一覧にしてお渡しします。
保存期間と削除
どこに何がどれだけ残るか。削除の請求が来たときに、索引や埋め込みまで届く導線を実装します。
日本語の説明資料
本社の法務と経営に向けた要約です。現地に提出する文書はドイツ語または英語で用意します。
範囲
技術文書と実装までです。個別の法的判断は貴社の法務または法律事務所の領域です。
05 進め方

4つの段取り

個人データを扱っている処理から着手します。全部を同時に進めても、照会で先に問われるのはそこだからです。

記録は編集できる形式でお渡しします。半年後に自分たちで書き足せない形式では、運用に耐えません。

段取り 1

洗い出し

どの業務でAIが使われ、そこにどんな個人データが入っているか。

段取り 2

記録の更新

第30条の記録に追記し、足りない項目を埋めます。

段取り 3

契約と設定の確認

委託先契約、処理される地域、学習に使われない設定。

段取り 4

削除の導線を実装

請求が来たときに索引まで消える仕組みを作り、引き渡します。

06 もうひとつの規制

EU AI Actとの関係

対象が違います。EU AI ActはAIシステムそのものを、GDPRは個人データを見ています。

ひとつの社内チャットボットが両方にかかることは珍しくありません。従業員の質問に答えるだけの仕組みでも、AI規制の側では表示義務が、データ保護の側では記録と保存期間の話が出てきます。

別々に進めると、同じシステムを二回棚卸しすることになります。私たちはひとつの台帳で両方を管理し、重複した作業が起きないようにします。

AI規制のほうだけを先に知りたい場合は、EU AI Act 対応のページをご覧ください。

07 自己点検

5つの問い

この中の3つに即答できない場合は、記録を見直す価値があります。

  • どの業務でAIに個人データが入っていますか。各部署が個別に契約したツールも数に入ります。
  • その処理は記録に載っていますか。載っているとして、いつ更新しましたか。
  • 入力したデータは学習に使われますか。契約と設定の両方で確認できますか。
  • 処理はどこで行われていますか。既定のリージョンのまま動いていませんか。
  • 削除の請求が来たら、索引まで消えますか。それを試したことはありますか。
08 よくある質問

GDPRとAI:よくある質問

日本の個人情報保護法に対応していれば、GDPRも満たせますか。+
いいえ。考え方は近いのですが、記録の義務、影響評価、委託先との契約の形が異なります。国内で整えた体制をそのまま欧州子会社に持ち込むと、記録と契約のところで足りなくなります。欧州拠点が扱うデータについては、GDPRの求める形で整える必要があります。
十分性認定があるので、データを日本に送るのは自由ですか。+
移転そのものは追加の手当てなしで行えます。2019年の相互の認定と、個人情報保護委員会の補完的ルールがその根拠です。ただし移転できることと、欧州拠点がGDPRの義務を免れることは別の話です。記録も、本人の権利への対応も、現地に残ります。
ChatGPTやCopilotを社内で使っています。何が必要ですか。+
まず、どの業務でどのデータが入力されているかを把握します。個人データが含まれるなら、処理記録に追記し、提供事業者との契約を確認し、入力が学習に使われない設定になっているかを見ます。部署ごとに個別契約している例が多く、そこが最初の詰まりどころです。
データ保護影響評価は必ず必要ですか。+
常にではありません。第35条は、権利や自由に高いリスクが見込まれる処理について求めています。従業員の評価、応募者の選考、大規模なデータの組み合わせが典型です。不要と判断した場合も、その根拠を残しておくと後から説明できます。
違反したときの制裁はどのくらいですか。+
第83条は、重い類型について全世界売上高の4パーセントまたは2,000万ユーロのいずれか高い方を上限としています。ただし実務で重要なのは金額よりも、監督機関から照会を受けたときに答えられる状態かどうかです。
EU AI Act対応とは何が違いますか。+
対象が違います。EU AI ActはAIシステムそのものを、GDPRは個人データを対象にします。ひとつのチャットボットが両方にかかることは珍しくありません。私たちは両方をひとつの台帳で管理し、二重の作業にならないようにします。
これは法律相談にあたりますか。+
いいえ。私たちは技術面の受託事業者として、記録、評価の材料、技術的な実装をお出しします。個別の法的判断は貴社の法務部門または法律事務所の役割です。私たちはその判断の材料を用意する立場です。
日本語でやり取りできますか。+
できます。打ち合わせと本社向けの説明資料は日本語で行い、監督機関や監査に提出する文書はドイツ語または英語で用意します。東京と大阪への訪問にも対応します。
09 関連ページ

あわせて読む

10 出典

記載の根拠

条番号、期限、十分性認定の年はいずれも一次資料に当たれます。こちらに挙げておきます。

GDPR
規則(EU)2016/679。処理活動の記録は第30条、影響評価は第35条、委託先との契約は第28条、削除は第17条、自動的な判断は第22条、侵害の通知は第33条、制裁は第83条です。eur-lex.europa.eu
日EU相互の十分性認定
欧州委員会実施決定(EU)2019/419、2019年1月23日。これが「追加の手当てなしで移転できる」根拠です。eur-lex.europa.eu
個人情報の保護に関する法律
第28条(外国にある第三者への提供)、第32条(保有個人データに関する公表事項)、第33条から第35条(開示・訂正・利用停止)。所管は個人情報保護委員会です。ppc.go.jp

2026年8月時点。法令や認定の状況が変われば、記載を見直します。

次の一歩

欧州拠点で何にAIを使っているか、お聞かせください。

30分あれば、記録の見直しが要るかどうかの見立てはお出しできます。要らなければ、その旨をお伝えします。

DEJPEN